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2023.07.21

左官屋を救うために開発!?マイナスイオンが出る「現代漆喰」を開発・販売する会社 「株式会社ナガショウ」

「衰退する左官業界を、救える手段はないか」

静岡県三島市に本社を置く株式会社ナガショウ(以下、ナガショウ)は、
珪藻土でも漆喰でもない、森林同等のマイナスイオンを発生させる左官材「機能性現代漆喰 ZONO A(ゾノエース)」を独自開発・展開する国内唯一の左官工事会社です。

モノリスグループ 川村工業ともお取引をいただき、仕事上でも良好な関係を築いています。

ナガショウでは様々なオリジナル商品を開発していますが、素晴らしいのはそのどれもが「問題解決」が原点にあるということ。

私たちモノリスグループの「左官の伝統だけに固執せず、変幻自在に姿を変え、問題解決に挑む」という信念とも合致し、今回はスペシャルコンテンツとして

株式会社ナガショウ 代表取締役 永田勝史さん

株式会社川村工業 代表取締役 川村 篤

の対談形式でお送りいたします。

― 株式会社ナガショウについて
左官工事を始め、一般住宅からマンション、商業施設の建築工事全般、公園遊具などの特殊左官工事まで幅広い建築工事を得意とし、全国の施工会社・職人とのネットワークを持つ。
https://nagashou.jp/company/

ナガショウとモノリスグループとの繋がり

インタビュアー
インタビュアー

それでは早速お話を伺いたいのですが、永田さんと川村さんはどんなお繋がりなのですか?

永田さん

何年も前になりますがFacebookを通じて知り合いました。
それがきっかけで川村さんと飲みに行って、その後モノリスで開催している経営者の集まりに参加させてもらったり、仕事をご一緒したこともあります。

川村工業がスタートした「左官の窓口」にも協力していくつもりですし、これから静岡で「左官110番」「左官119」も広めていこうと思います。


※左官の窓口はこちら

川村

永田社長とは最近も一緒に飲みに行きましたけど、「左官屋は器用なのに伝統ばかり売っている!」「日本の職人に儲けてもらいたいんだ!」って熱く語ってくれて。
ZONO A(ゾノエース)もそれが原点で開発された商品だから、それに共感してもっと多くの人に知ってもらいたいと思ったから今回の対談になった、というわけなんだ。
永田社長、一杯飲んでからのほうが喋りやすいんじゃない?(笑)

インタビュアー

素晴らしいですね!では始めにナガショウさんの会社のこと、ゾノエースのことを教えてもらいましょう!

全国の左官屋仲間が電話1本で集まってくれる

永田さん

弊社は、左官に関しては北海道〜沖縄まで、全国を飛び回る会社です。
町場の戸建住宅から、野丁場の商業施設、特殊左官まで幅広くやっています。

変わった仕事では全国の公園のタコの滑り台。左官の研ぎ出しの工法ですが、それを全国飛び回って新設しています。

インタビュアー

え!そんなにあの遊具がいまだに作られているんですか!?

永田さん

そうなんです。
滑り台とか旧来の遊具はスチール製が多く、そうした遊具は近年では酷暑で火傷してしまうんですよ。

それにスチール製の遊具は保って10年。その後建て替えとなりますが、このモルタル製のタコの滑り台は20年30年は当たり前で、下手すりゃ50年近く保つ場合もあるんですよ。

インタビュアー

しかし全国でというのはすごいですね!

永田さん

左官屋の仲間がいっぱいいるんで、どこにいても電話すれば駆けつけてくれるんです。ありがたい限りです。

川村

最近は、野丁場は安全書類やキャリアアップなど色々とうるさいから人気がない…。
スーパーゼネコンの現場を納められる施工会社の数は減っていて、町場で仲間同士で集まってやっていくというスタンスの左官屋さんのほうが多いんだ。

そういう左官屋さんが各地で集まってくれるんですね!

永田さん

地方に行くとキャリアアップシステムと言っても「なんじゃそりゃ?」、一人親方の労災保険特別加入と言っても「なんじゃそりゃ?」という返事が来ることもありますねぇ…。
そこからです。
弊社で加入手続きを進めることもあります。

左官屋に儲けてもらいたいという想いで開発「ZONO A(ゾノエース)」

インタビュアー

「機能性現代漆喰 ZONO A(ゾノエース)」についても教えてください!

永田さん

ゾノエースは、工学院大学と共同開発した製品です。
主成分が超多孔質のケイ酸カルシウムで優れた吸収・放出性能を発揮する左官材です。

湿度調整をサポートし、ニライシリカ(天然放射性希土類鉱物)からマイナスイオンが発生します。
それによって、室内が「森林」と同様のマイナスイオン数値になり、少しひんやり感じることでしょう。消臭効果もバツグンで、ニオイ除去への即効性も認められています。

珪藻土でもなく、漆喰でもない。
両方の良いとこ取りをした製品なんです。

それを左官屋に販売する場合に限り、定価より安く提供しています。
うちは多少の儲けが出れば良いという程度で、左官屋に儲けてほしいからそうしてるんです。

川村

今って、流行りのモールテックスとか海外からの輸入製品が沢山ある。
ハッキリ言って、同じ見た目の仕上げなら別の製品だって出来てしまう。でも設計の人が「モールテックス」という知名度だけで入れてしまうんだ。

それが悪いとは言わないけれど、だけどね、そこには輸入コストが乗っかっている。
本当はもっと性能が良い製品があったとしても、ネームバリューだけで採用されてしまうんだ。まあ、そういうことまで知らないケースが多いのだろうけれど。

インタビュアー

でも…
国内製品のことも知ってほしいですよね〜(T_T)

川村

永田社長!
ゾノエースには、マイナスイオンの機能がないものもありますよね?
それはお客さんのために2種類に分けているんですか?価格を変えて。

永田さん

そうですね。
そっちはもうべらぼうに安いので。

インタビュアー

なぜそんなに安く販売するんですか?

永田さん

左官屋の人口減少を食い止めたいからです。
そのためにはどうしたらいいんだって考えたら、「クロスに取って代わるような材料を作ればいいじゃないか!」と思い付いたんです。

クロス仕上げに奪われている左官の仕事

永田さん

今はマンションなどでは8〜9割でクロスが採用されています。
「簡単に誰でもできる」という方が需要があるんです。要はそれだけ施工コストが下がるので。

川村

でも、永田社長とこの前飲みに行ったときにも話したけれど、材料が安くても左官屋が人の手で施工してたらクロスに勝てないでしょうって言っていたんだ。

だから吹付け施工とかにすれば、より意図した結果に近づけるんじゃないかって。
左官屋は元々吹付けをやっていたからね!

インタビュアー

そういう理由でクロスが選ばれているんだ、ということも考えたことありませんでした…。

川村

本来、大工と一緒に左官屋が指揮を執って現場を納めていたんだけれど、「壁だけ塗ってりゃあいい」という怠慢で、どんどん土間でもなんでも仕事を投げてしまっていた。

そしたら何でも分業になっていき、いつしか簡単な仕事のほうが、「難しい左官」よりニーズが高まってそっちのほうが人気が出ちゃったという。市場を取られてしまった状態なんだ。

永田さん

しかし何が一番違うかって、やっぱり性能なんですよね。
意匠もあるけれど、性能。

インタビュアー

性能は良いけれど、みんな値段で物を選ぶようになって「左官仕上げ」は富裕層が選ぶものになってしまっているんですね!

永田さん

はい。左官への需要を増やして、雇用も増やして、「こういう仕事やってみたい!」という若者が出てくれば!と思って製品開発しているのです。そのトライアルに海外製品だとそもそも高価で辿り着けませんから。

「左官屋の仕事」ってなんだ?金ゴテ仕事が全てか?

川村

コテが使えるというだけで、それしかやらないというのは違う。
そればかりをやってしまったが故に、業務範囲を狭めて自分で自分の首を締めてしまった左官業。それでは一部の歴史が長い左官屋しか生き残れない。

この仕事で生き残っていくには、
「これが左官の仕事だ」
「自分たちはこれしかやらない」
と伝統や過去に執着しすぎず、柔軟に物事を捉えチャレンジしていかないと、他職種に仕事を奪われていく。

左官屋というのは仕上げのことなら何でも知っている、詳しい。ある種、仕上げに関しては指揮を執れる「コンサルタント」だと、私は認識している。

うちで言えば研磨も美装も自社でやってしまう。
土間屋がどんな風に仕上げたって、最後は研磨と美装を経て引き渡しになるのだから、結局土間も含め全てわかっていたほうが責任が持てる。

永田さん

一時期、左官の仕事が無くなった時があったんですよ。リーマンショックの後。
仕事が全くない時に、私が新しい工法を考えて組合に提案したんです。

無垢のデッキ材をコンクリートに貼り付けて、車両も通れるようにしたらどうかと考えたんです。

消防車も乗れるようなデッキ材を開発して、「これどうだ?左官の仕事にどうだ?」って持っていったら「これが左官の仕事か?」と返されました。
だから仕事が無いんだよ!と思わず言ってしまいましたが。

川村

その気持ちすごくよくわかる。
あの時はうちらも(川村工業も)何でもやったから。タイルの目地でも何でも。原点回帰。

それから土間業界に参入して「サーファー」での「再振動締固め」という工法を開発して、現場に提案しだした頃なんて、左官屋の社長連中は鼻で笑っていたらしいからね。

「こんなの左官屋じゃない」ってね。
それが今はゼネコンから再振動締固めが指定されるようになり、使わなきゃいけない状況になった。

ここに至るまでにもの凄い時間と労力がかかるわけ。
それくらい閉鎖的。

インタビュアー

でもそんなことを言いながらも、永田さんはゾノエースを開発したり、諦めずに向き合い続けている…
そこにはどんなモチベーションや想いがあるのでしょうか?

永田さん

そうは言っても、中には数少ない賛同してくれる人もいるからですね!
時間はかかっても「これ良いね!」と理解してくれて、そういう人たちがじわじわ広めてくれるので。

ゾノエースも、「教えてほしい」と向こうから来てくれるようになってきました。
そういう方々に講習をしたり、より現場に導入してもらいやすい支援を手厚くしていくことがいま我々が注力する部分です。

廃棄物をお金に変えた「ゾノパール」

インタビュアー

ところで永田さんはどうしてそんなに柔軟なお考えをお持ちなのですか?

永田さん

きっと色んな職種を経験したからでしょうね。
左官だけでなく鉄筋屋も齧ってみたりだとか、タイルの目地埋めたりとか。

その都度ギモンを持ったり、問題を見つけてはどうにか出来ないかと考えてきました。
それまで捨てられていた材料で何かできないか、とか。

インタビュアー

あ、それってゾノパールに繋がる話ですね!

永田さん

まさにゾノパールは捨てられていた廃材でした。
沖縄の海辺に土に混ざって捨てられていて、何だこれ?と思ったところからです。

沖縄の水は、海水を濾過して真水に変えているのですが、濾過する際に使う材料に「炭酸カルシウム(炭カル)」というものがあって、それらは1年で新しいものに交換するのだそうです。

その廃材となった炭カルを何かに使えないかと考えたのがゾノパールです。

比重が石よりも重たくて、セメントテラゾーとか研ぎ出しに使えないかと試しにやってみたらできたんです。

それから人工芝やフットサル場、テニスコートなどに撒くと、温度が下がってカビの予防にもなるしスライディングによる火傷を予防できる。

実は今、台湾の会社がゾノパールに目をつけてくれて、売ってくれないかと言われていて出荷準備中なんです。

川村

捨てていたものがお金に変わるわけですね!

女性が得意な仕事を創り出し、その人々の仕事によってゾノエースのファンも生み出す!

インタビュアー

奥さまが制作しているZono Stone(ゾノストーン)シリーズについても伺いたいです!

Zono Stone(ゾノストーン)シリーズ

抗ウイルス性(ISO21702)でマイナスイオンを発生するアロマストーン。
デスクや枕元、靴箱やクローゼットに入れて消臭効果・調湿効果・リラックス効果が得られ、リピーターが続出している。

永田美幸さん

ゾノエースをもっと身近に感じてもらいたくて、知ってもらうきっかけになればという想いで、女性スタッフの方々と一緒に考えたのがZono Stone(ゾノストーン)です。

ゾノエースは色も沢山種類があるので可愛いものが作れたら良いなとスタートしました。

アロマストーンであれば身近に置くこともできるし、消臭効果やマイナスイオンによるリラックス効果など見た目だけでない機能性も感じていただけます。

他のアロマストーンは、石膏で作られているものが主流ですので、マイナスイオンが発生するのはZono Stone(ゾノストーン)だけです。また、アロマの吸収も早く香りが持続すると好評です。

コロナ禍では抗菌効果でウイルスを不活性化させるという点で肌身につけるペンダントなどが非常に人気がありました。

リピーターで継続的に購入くださるファンの方もいて、そういうお客さまが「自宅をリフォームするからゾノエースを塗りたい」と、ゾノエースの販売にも繋がっているんです!

柴崎

マイナスイオンのリラックス効果…
現代のお疲れ気味の方にはぴったりですね!

永田美幸さん

はい!やはり不眠に悩まされている方なども購入されていきますね。
そういうお客さまはとっても敏感なんですよね、商品に対して。

柴崎

うちの事務の女性も、今日私がナガショウさんに来ることを知って「帰りに買ってきてください!」と。お使いを頼まれてきたんです。(笑)

Zono Stone(ゾノストーン)のプロジェクトは、雇用促進の目的もあると伺いましたが。

永田美幸さん

弊社では女性スタッフをさらに増やしていくことを目指しています。
女性が社会に出て働ける場所を提供したいという気持ちが強くて。今一緒に働いてくれているスタッフは、お客さまへのちょっとした気遣いをとても良くしてくれています。
それによってリピーターが生まれるほど満足度の高い商品になっているのです。

ナガショウの事業承継。二代目が見ている未来。

インタビュアー

永田さん、息子さんもナガショウに入社されているのですよね?
ぜひ事業承継についてどのようなビジョンを持っていらっしゃるのかお聞きしたいですね!

川村

それは聞きたい。
自分の場合は動機が不純だったから。(笑)もうそんな人に話せるような…兄と左官屋始めた頃はいつバックレようかなって…

柴崎

そこにはあまり触れないでください。(ピシャリ)

インタビュアー

(爆笑)

永田怜央さん

小さい頃から父が左官をやっていたのを見ていて、単純に「すごいなぁ〜」と思って時折手伝いに行ったりはしていました。
まぁ、その頃何か考えていたかと言われると何も思ってもいませんでした。

大学生のころですかねぇ。

本当に漠然とですが「起業したい!」と考えるようになって、その理由は言われたことだけこなして普通に生きている人生じゃつまらないなと感じたからです。

一度しかない人生ですから、やりたいことをやって、失敗したってそれは自分の決断。

だったらやってみればいいじゃないかと思ったんです。

以前は大手の建設会社に務めていたのですが、父からは一度もうちに来いなんて言われたことはありません。

起業への思いが深まっていく中で、父が頑張ってつくってきた「今あるものを伸ばしていく」という選択肢もあるんじゃないかな?と考えました。

柴崎

あるものを伸ばすというほうが、難しいことだと思います。
よりチャレンジングな方を選択されているというのが凄いと思いますね。

永田怜央さん

父も大変だったと思うんです。
お金も何もない中から始めて。そういった物を受け継いでいけるというのは幸運なことなのかなと感じています。

川村

親の育て方も良かったのでは?

自分と兄は、親の残した負の遺産ごとまるごと受け継いでやって来た。厳密に言えば徐々に自分たちが幅を利かせて親の会社をジャックしていったような形でしたが。

親なんて無視です。暴走!(笑)
どちらかと言うと言うこと聞かない系で…好き勝手に…

ただし、今までのものにプラスアルファの工夫や付加価値を付けていくことは、その能力だけは人一倍めちゃくちゃにあったのだと思います。

川村工業が土間をやり始めると言ったときもそう。
サーファーを導入したときもそう。
周囲はみんな「頭おかしいんじゃないの?」って自分らのことを見ていた。

でも常識を超えていかなければ、100年以上も歴史のある左官屋には勝てない。

ハッキリ言って左官より土間の方が、一発でコンクリート床を仕上げる方が絶対に難しいから、本当に出来たら凄いぞ、これなら一番になれるんじゃないかって考えて。

それからはもう左官屋が土間の仕事を土間屋に丸投げしているのを、美味しい仕事を捨てているようにしか見えなくなっていました。

人が嫌がるのだから、そこに市場があると思って。

だから自分なんかからすると、お父さんがつくってきたものを踏み台にする位の気持ちがあっても良いと思うんだけれど、何をどうプラスアルファするんだろうと、それが聞きたいなと。根拠のない自信で良いんです。

永田怜央さん

実は…ナガショウに入社してまだ3ヶ月程なんです。
しかしすでにハウスメーカーに勤めていた友人を1名呼んで、入社してもらいました。

最初の1年、1人では伸ばしきれないと思ったので。
今年は今あるサービスを伸ばしていきたいと考えています。ゾノエースもそうですし、社長が目指している建築部門の方も。

また、宅建も取得したので不動産業もやりながら定期的な収入が入るようにして、経営を安定させたいと思っています。

最終目標は色々あるのですが、自分が生きてきたつめ跡は残したいです。
関わる人を幸せにしたい。
しんどいこともあるでしょうけれど、一人ひとりが自分で考えて挑戦できる環境があり、その先に楽しさを感じてもらえたらそれが最高だなと。

そのための手段は今の段階では選ばないのかなと思っています。

柴崎

誰か一人ではなく皆さん全員がそれぞれの得意分野があって、それを活かして経営しているという印象ですね!

インタビュアー

素晴らしいですね!!(とても入社3ヶ月とは思えない受け答えと貫禄…)

ぜひ引き続きゾノエースなどの今後も追いかけて、認知拡大に向けてご協力していけたらと思います!本日はありがとうございました!

その後は…

その後は永田さんのご自宅にお邪魔して、社長が大ファンであるという矢沢永吉のパフォーマンスを拝見し最高に盛り上がりました!(笑)

また倉庫も見せていただき、ゾノパールや琉球サンゴ砂のカラフルな塗り壁を見ながら製品について学ばせていただきました。

株式会社ナガショウの各種製品やサービスのお問い合わせはこちらのHPから!
https://nagashou.jp/

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