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2026.07.10
土間工事は、丸投げの「請負」からガラス張りの「常用」工事へ
土間コンクリート仕上げは、いわゆる「丸投げ」状態―――長年、この業界に染み付いた慣習を直視し、これからの土間工事のあり方を本気で提案します。
今、建設業界が迎えている大きな転換点
2024年4月より時間外労働の上限規制が、5年の猶予期間を経て、建設業にも待ったなしの適用です。
2025年12月には建設業法の改正が施行されました。
この改正は、建設業界の取引慣行を健全化し、担い手不足・長時間労働・資材高騰といった構造的な課題に対応するための、業界全体を揺るがす大きな転換点です。
「今まで通りで大丈夫」は、もはや通用しません。
気候変動による酷暑の夏、屋外現場は50度にも達することがあるため、とりわけ深刻なのが、熱中症による労働災害。建設業における熱中症死傷者数は全産業の中でも高い水準にあります。

中でも土間コンクリート工事は屋外・高温環境下での重労働であり、リスクは一段と高く、空調服着用など個人の努力だけではもはや限界です。現場ごとに環境へ配慮し、適正な人員配置と休憩時間を確保しなければ、熱中症事故は防ぎきれません。
ひとたび労働災害が発生すれば、元請け・一次請け左官屋は安全管理責任を問われ、工期の遅延・社会的信用の失墜にも直結します。そして丸投げによる人員の過少配置は、単なる品質問題ではありません。、安全衛生上の重大リスクそのものです。
コンクリート工事は時間との戦い。品質を守りながら働き方そのものを変える――それが今、まさに突きつけられている課題です。
土間屋へ「丸投げ」される土間コンクリート工事
元請け・一次請けの左官屋が土間屋に「請負」で丸投げしている土間コンクリート工事。その中身は、長年にわたってブラックボックス化されたまま、深刻な問題を抱えつづけてきました。

では、そもそも左官屋が土間屋へ丸投げという構造はなぜ・いつ頃から始まったのでしょうか。
もともと土間仕上げも左官の仕事でした。それが戦後復興から高度経済成長期にかけてコンクリート需要が拡大していく中で、コンクリートポンプ車の普及を契機に、大量のコンクリートを一度に流し込む施工が急増していきます。これに伴い均し作業やコテ押さえも、効率化するハンドトロウェル(機械ゴテ)などの機械化施工が現場の標準となっていきました。
1980年代には物流倉庫、工場、大型商業施設などが急増し、床コンクリート仕上げの面積が一気に巨大化。その頃から「左官屋は鏝を使う左官だけ、土間は土間屋」という分業化が進みました。
しかし分業化は生産性を高める一方で、品質管理という点では大きなリスクを抱えます。「生コンが硬すぎる、柔らかすぎる」とコンクリートのせいにし、屋外作業では「天気・気候」のせいにする。生コンの配合、ポンプ車の到着時間、無理な打設日程、責任の所在はどんどん曖昧になっていきます。
元請けゼネコン側でよくあるのが、オーバーブッキングです。人手不足を背景に、土間コンクリート仕上げの打設日程を予定より大幅に多い日数で仮押さえし、頻繁に日程変更を行います。土間屋側もそれを見越して、機会損失を防ごうとダブルブッキングを行い、現場が重なれば人数を減らして配置するため、結局そのしわ寄せが品質低下を引き起こす最大の要因となっています。
さらに繁忙期には、現場側が複数の生コン工場に重複して仮予約を入れるので、直前や当日キャンセル(ドタキャン)に備え、生コン工場側もオーバーブッキングで自衛する。この連鎖が配車を狂わせ、現場へのミキサー車到着ピッチが空けば、待ったなしのコールドジョイントが発生してしまうのです。
近年では、こうしたモラルハザードに歯止めをかけるべく、全国の生コンクリート協同組合がキャンセル料の劇的な値上げや、残コンの有償化に踏み切っています。例を上げると、東京地区生コンクリート協同組合では、キャンセル料を1㎥あたり1万円から3万5000円へと3倍以上に引き上げました(2025年4月見直し)。これは、生コン販売価格より高い!土間屋にとって直接関係のない無駄なコストの落としどころはどこか、間接的に労務費が削られているのではないでしょうか。
建設資材や機械などはその単価を圧迫されず、生コンのキャンセル料は3倍以上がまかり通るのに、労務費のキャンセル料はどうでしょうか?3倍以上どころか泣き寝入りしていませんか?
左官屋が「請負」で土間屋に丸投げするから、配置人数は土間屋のサジ加減次第。同じ条件のはずなのに入場者数がコロコロ変わり、現場は土間屋の都合に振り回される。さらに人手不足を盾にバラバラの一人親方たちの寄せ集めであったり、一人親方への法定福利費上乗せという不可解な請求であったり、土間屋の請負というブラックボックスの中では、人数を減らすも労務費を下げるも自由自在なのです。
なぜそんなことが許されるのか?答えはシンプルです。土間コンクリート工事における適正配置人数・適正な標準労務費という基準そのものが、これまで明確にされてこなかったからです。
自社の利益を追求することは当たり前のことです。しかし品質よりも帳尻合わせを優先し、分業、分業と細分化を重ねてきた結果が可視化を妨げ、建設業の歪んだ構造を積み上げてきたのではないでしょうか。
2025年12月建設業法改正が求めるもの
建設業法の改正により、元請けから下請けまで、すべての段階で適正な労務費を確保する仕組みが整えられました。

■ 3つの禁止規定
① 著しく低い労務費・材料費による見積りの禁止
発注者が不当に低い価格で見積りを要求すること、また受注者がそれに応じた見積りを出すことも禁止。「適正価格(標準労務費)」が判断基準となります。
② 原価割れ契約の禁止(受注者にも適用)
これまでは発注者側のみに課されていた規制が、受注者にも拡大。赤字を承知での受注も禁止されます。
③ 工期ダンピングの禁止
著しく短い工期での契約締結が、発注・受注の双方に禁止されます。無理な工期での土間打設指示も対象になります。
■ 違反した場合
500万円以上の工事(建築一式は1,500万円以上)が勧告の対象となり、違反した場合は発注・受注の双方に勧告・指導が入ります。国土交通省が設置する「建設Gメン」が現場調査を行い、違反が確認された場合は勧告・公表・改善指導といった措置が下されます。
「請負だから問題ない」――そう言って土間屋が目先の利益を優先し人員削減を続けていると、法的リスク・品質リスク・担い手不足という三重のリスクは、土間屋だけでなく元請け・一次請け左官屋にも及びます。
左官業を主とする当社は、将来を見据え早くから土間工事を内製化してきました。壁も床も一括施工する左官屋だからこそ、見えてくるものがたくさんあります。
自社で土間工の育成を検討される左官業者様は、参考までにこちらもどうぞ👇
「請負」から「常用」へ――ガラス張りの工事管理
建設業が転換期を迎えている今だからこそ、当社(現場共創機構グループ)は土間コンクリート仕上げの適正価格を公表します。明確な根拠のある一位代価表から算出した歩掛によるもので、国土交通省ガイドラインに準拠。これにより、土間コンクリート工事の可視化、ガラス張りの工事管理を実現します。
当社が提案するのは、土間コンクリート工事を「常用工事」として見える化すること。適正人数、適正な労務費・法定福利費をガラス張りで見える仕組みへ転換します。

現状、土間屋が「請負」で行う土間コンクリート工事の多くは、計算根拠が見えない、過少人員配置による利益優先、土間の一発仕上げによる長時間労働で2重帳簿になる――こうした実態は、法改正への対応として早急な改善が必要です。
常用工事として適正価格・適正人数を明示すること。それこそが法改正への対応であり、品質と安全の確保にもつながります。
実際の見積りには、直接工事費以外の細かな経費も入ります。遠方の現場ならガソリン代や実費高速代、機械持ち込みならリース料など損料。また、直前や当日キャンセルのキャンセル料については、都度協議のうえで決めさせていただきます。
ただし、適正人数を配置したうえで、技能者が省力化のために持ち込む機械や道具等については、当社の企業努力として位置付けています。
「責任の所在」は、見積り段階で確定する
土間コンクリート工事は、ポンプの先から生コンが放出された瞬間から、土間屋の「責任」が始まります。見積りはその責任を担うことを前提に作成しなくてはなりません。
夏期の屋外打設では、打設面の上の温度が50度近くに達することもあります。厚生労働省の熱中症対策基準では、「気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業の場合、品質を守りながら「人の安全を最優先」するには、通常の適正配置人数を上回る交代要員の確保が不可欠です。

(厚生労働省)
※WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)暑さ指数は、熱中症を予防することを目的とした指標
一方、生コンの硬化速度が遅くなる冬場の低温下で、※「一発直仕上げ」施工を採用する場合、作業が深夜まで及び、同じ作業員が通しで働くことは長時間労働となるため、作業員の交代が必要となります。
打設数量に応じた適正配置人数はあくまで目安であり、このように気温や工法などの作業環境によっては割増の人員配置が必要です。
元請けから下請けまで、どの階層においても見積り段階から責任を担う前提で、より環境に適した工法・適正配置人数を熟慮して積算することが重要です。
安く請けて安く働かせる――それはもう通用しません!
【今回の建設業法改正内容が及ぼす影響】
| 改正内容 | 土間工事への影響 |
|---|---|
| 著しく低い労務費の禁止 | 標準労務費を下回る丸投げ単価は法律違反 |
| 原価割れ契約の禁止 | 土間屋への不当な値下げ強要もアウト |
| 工期ダンピングの禁止 | 無理な工期での打設指示も禁止対象 |
※当社は安全性と合理性の観点から、一発直仕上げに代わる工法として「メクレーンポリッシュ工法」を推奨しています。
参考までにメクレーンポリッシュ工法はこちらから👇
適正な技能者配置と標準労務費
【土間コンクリート工事細目】
発行日:令和8年7月1日
モノリスコーポレーション(株)
◆常用工事における打設数量(㎡)に応じた適正配置人数の目安は以下のとおりです。
| 打設数量 | 適正配置人数 |
|---|---|
| 1〜30㎡ | 1人 |
| 30〜70㎡ | 2人 |
| 70〜130㎡ | 3人 |
| 130〜180㎡ | 4人 |
| 180〜250㎡ | 5人 |
| 250〜350㎡ | 6人 |
| 350〜450㎡ | 7人 |
| 450〜600㎡ | 8人 |
| 600〜800㎡ | 8〜10人 |
※熟練の土間技能士複数名から聞取り調査済み
◆公共工事設計労務単価(国土交通省)

◆技能者の標準労務費(基準単価)は、配置人数に応じて以下のようになります。
・東京都「左官工」:33,800円(職長レベル)
・人数2名~は、技能レベル混在の基準単価
| 人数 | 平日基準単価 | 法定福利費 |
|---|---|---|
| 4名〜 | 26,000円 | 3,900円 |
| 3名 | 28,000円 | 4,200円 |
| 2名 | 31,000円 | 4,650円 |
| 1名 | 33,000円 | 4,950円 |
※休日・残業割増、深夜10時~翌日補償
◆持込み機械損料(目安)
| 機 械 | 単位 | 単価 |
|---|---|---|
| トロウェル | 1台/日 | 5,000円 |
| 騎乗式 | 1台/日 | 10,000円 |
| オートレーザー | 1台/日 | 5,000円 |
| サーファー | 1台/日 | 50,000円~ |
※搬入・搬出費は都度協議
◆諸経費(目安)
| 項 目 | 単位 | 単価 |
|---|---|---|
| ガソリン代 | 8km/ℓ | 時価 |
| 高速代 | 台 | 実費 |
| 駐車場代 | 台 | 実費 |
| 遠距離拘束 | h | 残業扱い |
◆キャンセル料(目安)
| 項 目 | 単位 | 適用 |
|---|---|---|
| 前日 | 1日 | 補償 |
| 前々日正午~ | 0.5日 | 補償 |
| 仮押さえ日について | ※ | 協議 |
◆仕上げについて(要求品質の目安)
①捨てコン:トンボ・定規均しのみ
②レベルコン:①+レベルチェック+1回金鏝
③耐圧コン・フレスノ仕上げ・防水下仕上げ・木鏝仕上げ・タイル下地仕上げ:②+1回押さえ+金鏝(フレスノ・木鏝)押さえ
④金鏝仕上げ・シンダーコン仕上げ等:③+円盤掛け(トロウェル)+追加押さえ
⑤鏡面仕上げ:④+機械仕上げ(複数回)
◆レベル精度について(要求品質の目安)
基本は均しの段階でレベルチェック(1回)が基本。発注側の要求品質によっては、コンクリートが完全に硬化する前の円盤掛け等を行う作業前に、再度追加レベルチェック(2回~3回)を行い、不陸などがある場合は処理を行うことでレベル精度の向上が図れます。
◆機械化施工の考え方について
当社は、「機械化は誰のために」を最優先とし、まず身体負荷軽減、それから安全性向上・品質の均一化・生産性の向上とつづき、その前提として総コスト削減に裏打ちされているかどうかを重要とします。

現場では、最新鋭機と銘打ち、その内情は総コストを押し上げているような機械化を見ることがあります。懸念は、その機械化が人件費にしわ寄せとなっていないかです。
機械化施工は、その保守・維持費、現場への搬入・搬出、ドロドロの生コンを乾いてしまわないうちに洗い流す水場、新築物件の場合その汚水を流せる設備の有無など、見えないところに掛かるコストが見えているのでしょうか。
当社が考える機械化とは、人を減らすための「省人化」ではありません。建設業で働く人が、年齢を重ねても、安全に、無理なく働き続けられるための「省力化」です。もし、機械化の目的が人を減らすことになってしまえば、機械が増えるほど建設業を目指す人も減っていくのではないでしょうか。
価格競争から、「価値共創」へ
当社は、土間工事を内製化した一括施工体制で、「適正価格・適正人数」による施工を提供しています。ブラックボックスではなく、ガラス張りの工事管理。それが当社モノリスコーポレーションの姿勢です。
国土交通省が公表している「支払われるべき適正な労務費」に、現在のところ土間の標準労務費はまだ公表されていません。
2025年12月

当社(現場共創機構グループ)は、いち早く業界団体に先駆けて、独自に標準労務費(基準単価)を公表しました。
基準単価はそのまま見積りに適用されるものではなく、個々の案件での施工条件や作業内容などに応じて労務費が計算されます。けれども価格交渉のテーブルについたとき、その労務費が適正な水準かを判断する指標として標準労務費(基準単価)が機能します。
現場共創機構グループが目指すのは、労務費を削って安値で価格競争するのではなく、適正な労務費を確保して人の価値を共創する建設業、元請けから下請け間で減らされることなく技能者へ賃金が届く、建設業の新しい商習慣の実現です。
「人」はコストではありません。「人」は資本です。これが現場共創機構の考え方です。
土間工事の内製化をご検討の一次請け左官業者様、ぜひお問い合わせください。新しいスタンダードを、一緒につくっていきましょう。
また、ご希望があれば自社施工(直用工)「育成プログラム」のご用意もあります。






